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本書は、社会学者の目に映った現代アート界の“観察記”であり、5カ国6都市にまたがってアート関係者たちに会いに行った著者の“旅日記”でもある。
著者サラ・ソーントンは、学生時代に美術史を専攻して以来の知識とギャラリー勤務経験、そして幅広い人脈を活かして、アート業界関係者に徹底取材を敢行。インタビュー対象はアーティスト、ディーラー、キュレーター、批評家、コレクター、オークションハウス関係者、美術学校の学生など多岐にわたり、その数ゆうに250人を超える。
いまアートシーンの第一線で活躍する村上隆氏のアトリエ訪問記も収録されており、日本人読者にとってはさらに興味をかきたてられること請け合いだ。
こうして集められた多彩な顔ぶれの証言を丁寧につむぎ合わせていった先に、著者は驚くほど具体的に、そして眼を見張るほどいきいきと、アートの世界の「全体像」を描き出す。業界ならではの裏事情、独特の慣習、アート界の“生態系”などのトリビアも多く紹介されており、アート業界をよく知らない初心者にも十二分に楽しめる内容だ。
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著者は言う。「どうやら傑作はただ生まれるものではなく、つくられるもののようだ」と。類まれな作品を世に生み出すアーティストだけではなく、その作品を応援するディーラー、キュレーター、批評家、コレクターなどがいて初めて、可能性を秘めた作品は「傑作」としての名声を確立するのだ。
本書では、それぞれ異なる役割を演じる人々の目を通して、「アート」というとらえどころのない人間の取り組みを堪能し、追体験することもできる。
さあ、そろそろ時間だ。現代アートをめぐる7日間のツアーへようこそ。

